採用サイト再構築のコンセプト作りから設計・コンテンツ企画支援事例

この記事を読んで頂きたい方
人材獲得に注力すべく採用サイトのリニューアルに着手するタイミングで、どのような進め方が必要かお悩みのご担当者さま、またサイト設計やコンテンツ企画に外部支援が必要とお考えの方へ、デジタルテイクオフによる採用サイトのコンセプト作りからサイト設計、コンテンツ企画支援にフォーカスして事例紹介します。
コンテンツ
採用サイトのリニューアルに関するBtoB企業様からのご相談
本格的に人材獲得に注力しようと動き出した社員数50名規模のBtoB企業様よりご相談をいただきました。
採用ご担当者様を中心に「何から着手すべきか」をテーマに社内会議を実施した結果、更新は止まり情報量が不足している採用サイトのリニューアルから始めることに決定。そこでデジタルテイクオフの事業内容に興味を持たれ、お問い合わせいただきました。
支援範囲は採用サイトのリニューアルに加え、その後の運用サポートまで継続していますが、本記事では特に重要となる上流工程 ― サイトのコンセプト作り、設計、コンテンツ企画支援 ― にフォーカスしてご紹介します。
なお、支援内容には守秘義務があるため、詳細な内容は記載せず細部をアレンジしてご紹介します。
上流工程で押さえるべき3つのポイント
採用サイトリニューアルの上流工程において、最も重要となるのは次の3つの工程です。
- 企業を取り巻く外部環境に加え、会社の強み・弱み、理念やビジョン、社内風土・文化といった内部環境をしっかり情報収集し言語化する
- 企業が属する業界の採用環境を客観的に把握し、現状を正しく認識する
- 必要な採用マーケティングの取り組みや方針を明確化し、当事者である企業様と外部支援を担うデジタルテイクオフが同じ視点で協力体制を構築する
社内外環境を整理するためのヒアリング

社内外環境のヒアリングにあたり、採用ご担当者様を中心とした3名のプロジェクトメンバーとオンラインミーティングを実施しました。
その前段としてデジタルテイクオフ側で準備を行い、外部環境については業界の市場動向や採用状況、離職率などをChatGPTなどのAI活用やWeb検索を通じて調査・整理。
社内環境については、既存のオフィシャルサイトのコンテンツや社名検索で得られる企業情報にて把握しました。
オンラインミーティングでは、事前に調査した内容をもとに質問事項を整理し、実際にヒアリングで得られる情報と突き合わせながら整合性を確認。
外部環境に関してはこちらで収集した情報を提示し、プロジェクトメンバーとの認識の違いや不足している点を洗い出しました。そのうえで社外環境と社内環境を整理した資料を作成しました。
このように社内外の情報をまとめ双方の認識をそろえておくことは、今後の意思決定に必要な土台となります。そのためこの工程を上流フェーズの最初の重要タスクと位置づけ、十分な時間を確保して取り組みました。
人手不足の現状を客観的に見える化

採用環境に関しては、まずデジタルテイクオフからマクロ視点のデータを提示しました。
国立社会保障・人口問題研究所によると、生産年齢人口は1995年の8,700万人から2030年には6,700万人まで減少する見通しです。
さらに、パーソル総合研究所の予測によれば、2030年に必要とされる労働需要は約7,073万人。両者を照らし合わせると、人手不足が避けられないことは明らかです。
加えて、クライアント企業様が属する業界の採用状況を、ネット検索やAI、業界情報誌などを通じて調査しました。
その結果、業界全体が若年層から敬遠されやすいイメージを持たれていること、給与水準が高くないことなどから人手不足が慢性的に続いており、企業間での人材獲得競争が激化していることが分かりました。
こうした状況について、プロジェクトメンバーの皆様も「なんとなく感じていた」部分はありましたが、客観的なデータや調査結果として整理・言語化することで、改めて厳しい採用環境であることを双方で共通認識として持つことができました。
採用ファネルを使った取り組み方針の確認

次のステップでは、必要となる採用マーケティングの取り組みや方針を明確にし、プロジェクトメンバーの皆様と外部支援を担うデジタルテイクオフが同じ視点で協力体制を築くことを目的に協議を行いました。
その際、デジタルテイクオフから提示した資料の一つが「採用ファネル」です。
採用ファネルとは、求職者が企業を知ってから入社に至るまでの流れを段階ごとに整理・図式化したもので、採用活動の各ステップに必要な取り組みを検討する際の指針となります。
今回のケースでは、クライアント企業様がデジタルテイクオフへお問い合わせいただく前に社内会議を開き、「まずは採用サイトをリニューアルする」という方針が固まっていました。
そこで採用ファネル上では、第二段階にあたる「企業を深く理解してもらい、エントリーの動機を高める」ことを目的と位置づけ、その手段として採用サイトをリニューアルすることを定義しました。
そのうえで、必要なアイデアやコンテンツ企画を双方協力のもとで検討し、進めていく方針を合意しました。
どのような人材を採用したいのか?何を伝える必要があるのか?
社内外環境の整理と、採用市場の厳しさについて双方で共通認識を持ち、採用マーケティングの方向性を合意した次のフェーズでは、「採用サイトを誰に向けて発信するのか」を明確にすることから取り組みました。
あわせて、その相手に効果的に伝えるためのサイトコンセプトを定義し、最終的にサイト設計へと落とし込んでいきました。
「誰に」を具現化するペルソナ定義

プロジェクトメンバーとのミーティングで、デジタルテイクオフよりペルソナの重要性を説明し、採用ペルソナを設定する目的として以下の2点を提示しました。
- 雇用のミスマッチを防ぎ、早期離職を減らすこと
- 採用したい人材に対するメッセージを明確化すること
メンバーからは「給与が魅力的でない」「福利厚生で大手に劣る」といった懸念が挙がりましたが、中小企業では待遇面で大手と競うのが難しいという前提を共有したうえで、それでも「どのような人を採用したいか」を言語化する重要性を丁寧に説明しました。
その後、既存社員がこの会社で働くうえで大切にしていることや企業風土・文化についてヒアリングを行い、協議を重ねた結果、採用軸を「企業理念・ビジョンへの共感」と「カルチャーフィット」に置くことを決定しました。
これをもとに、採用したい人物像をさらに深掘りしてペルソナ定義を行いました。
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「何を」伝えるのか?採用サイトのコンセプト作り

ペルソナを定義することで、「どのような人材を採用したいか」が明確になり、次のステップではその人材に自社への興味や関心を深めてもらい、理解を経てエントリーにつなげるために、採用サイトのコンセプトをどう定義するかを話し合いました。
ブレスト形式でアイデアを出し合う中で、ペルソナが明確になっていることでメンバー全員の思考が同じ方向となります。
自分たちの仕事のやりがいや楽しさ、チームワークによる社員同士のサポート体制など、これまで「当たり前」と思っていた職場環境を言語化することにより、企業風土を具体的に知ってもらうことの重要性が見えてきました。
その結果、「仕事内容や職場環境といった会社のリアルを、ペルソナが自分ごととして捉えられるように伝える」ことを軸に、採用サイトを“ペルソナ向けコンテンツプラットフォーム”として位置づける方針を固めました。
「誰に」「何を」伝えるのかをペルソナ定義と採用サイトのコンセプトで具体化することこそ、上流工程における最も重要なフェーズであると考えています。
「誰に」「何を」伝えるのかを俯瞰して考えるサイト設計

ペルソナとサイトコンセプトが明確になったことで、採用サイトをどのようなコンテンツ構成で構築するかを具体的に検討できる段階に入りました。
現行の採用サイトは「採用担当者からのメッセージ」「募集要項」「会社紹介(売上や社員の男女比など)」「先輩社員の声」といった限られた内容で構成されており、初めてこの会社を知る人にとって仕事内容や職場環境を自分ごと化して捉えるには明らかに情報が不足しています。
そこでプロジェクトメンバーと議論を重ね、会社のリアルを詳しく伝えることで応募者が自分の将来像を描けるような構成を検討しました。その結果、以下のページが必要と整理しました。
- 業界未経験者でも理解できる事業紹介ページ
- 社風・職場環境を数値とビジュアルで紹介するページ
- 仕事内容や社内の雰囲気を伝える動画アーカイブページ
- 職種別に先輩社員が仕事内容を紹介するページ
- 採用担当者が語る「当社で働く魅力」ページ
- 福利厚生とその活用事例を紹介するページ
- 研修体制とキャリア形成支援を伝えるページ
- 募集要項・エントリーページ
これらをデジタルテイクオフにて整理し、サイトマップ(サイト設計図)としてまとめ、採用サイトの構成を確定しました。
採用に対する「熱量」を伝えるコンテンツ企画
サイトマップをもとに各ページのコンテンツ企画に着手しましたが、この段階で大きな壁に直面しました。
文章を誰が作成するのか、キャッチコピーやビジュアルをどう表現するのかといった具体的なアイデアが出ず、サイト構成まではスムーズに進んだものの、いざコンテンツ制作に移ると足踏みしてしまったのです。
そこでデジタルテイクオフから「採用に対する熱量をどう可視化するか」という観点でアイデアを提示し、必要に応じて文章作成も支援しました。
伴走しながらコンテンツ企画を前進させることで、各ページに「誰に・何を・どう伝えるか」の軸が具体化され、採用サイト全体のコンテンツが形になっていきました。
専門用語をわかりやすい言葉に変換して紹介

採用サイトのコンセプトとして定義した「会社のリアル(仕事内容・職場環境)を自分ごと化できるペルソナ向けコンテンツプラットフォーム」を具体化するために、まずは「自社は何をする会社なのか」「社員の仕事は社会にどのように貢献しているのか」という点を、企業理念やビジョンに基づいて掘り下げることに重点を置きました。
その内容を主に反映するページが、「業界のことを全く知らない人でもイメージできる事業紹介ページ」です。
ここでは、業界の基礎的な説明から丁寧に文章化し、業界内でのポジションや同業他社との違いを示すことで、「専門性の高い仕事であり、社会に大きく貢献している企業である」という価値を伝えるコンテンツを企画しました。
ただし専門性が高いほど、どうしても業界用語や社内用語が多くなり、業界を知らない人にはイメージしづらい内容になりがちです。
そこでデジタルテイクオフにて可能な限り専門用語をかみ砕き、学生にも理解しやすい言葉に置き換えるサポートを実施。わかりやすさと専門性を両立させる編集を行うことで、理念やビジョンを魅力的に伝える文章を作成しました。
ペルソナ起点で磨き上げる採用コンテンツ

続いてサイトマップに基づき各ページの具体的なコンテンツ作成に取り掛かりました。
採用したい人物像は「企業理念・ビジョンへの共感」と「カルチャーフィット」をベースに定義しています。
そのため、コンテンツも常にペルソナを起点に発想することを重視しました。
たとえば、社風や職場環境を数値とビジュアルで紹介するページでは、ペルソナが特に関心を持ちやすい項目を優先的にピックアップ。
既存社員へのアンケート結果をもとに、社内の雰囲気や人間関係を図式化して掲載しました。
さらに残業時間や有休消化率、オフタイムの過ごし方なども数値やグラフで分かりやすく表現し、職場環境を自分ごととしてリアルにイメージできるよう工夫しました。
また、先輩社員による仕事内容紹介ページも職種別に構成し、各業務の内容や他部署との関わり方、福利厚生の活用事例などを整理。日々の仕事を具体的に想像できるよう、デジタルテイクオフが編集支援を行いました。
いずれのページでも、業界用語や社内用語をできる限り分かりやすく変換し、「ペルソナがどう受け取るか」を意識して構成・編集を進めたことがポイントです。
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ペルソナに響く『伝え方』の工夫

会社のリアル(仕事内容・職場環境)を自分ごととして感じてもらうためには、画像、動画、テキスト、ブログなど複数の表現方法を組み合わせることが欠かせません。
特に動画コンテンツは視聴されやすいため、会社紹介や事業紹介にとどまらず、職種ごとの仕事内容、オフィスやミーティングの様子など、社内の雰囲気が伝わる映像を企画しました。
さらに、尊敬できる先輩社員の紹介や、産休から復職された社員のインタビュー動画など、ペルソナを意識した具体的なアイデアも出てきました。
動画制作には一定の労力やコストがかかりますが、基本は社内で撮影し、ショート動画を中心にすることで負担を抑えます。社員のプライバシーに配慮しつつ、便利な編集ツールを活用すれば社内制作も十分可能です。
大切なのは「やみくもに動画を作る」のではなく、採用サイトのコンセプトとペルソナに基づいて企画すること。
これにより、一貫性のあるメッセージと統一感あるカルチャー紹介ができ、無理なく継続的に動画を増やすことができます。
まとめ
今回は、本格的に人材獲得に取り組み始めたBtoB企業様に対し、採用サイトのコンセプト作りから設計、コンテンツ企画支援までの上流工程を中心にご紹介しました。
本プロジェクトでは、採用ファネルの第二段階にあたる「企業を深く理解してもらい、エントリーへと動機づける」ことを目的に採用サイトのリニューアルを実施しました。
しかし同時に、第一段階である「企業を認知し、興味を持ってもらう」ための施策も欠かせません。
そのため採用サイト完成後は、SNSマーケティングなどを活用して認知拡大を図り、採用マーケティング全体を伴走型で支援しています。
採用サイトのリニューアルや採用マーケティング全般に関してご相談を承っておりますので、まずはオンライン無料相談をご活用ください。お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
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